よくある質問

消費者契約法ってなんですか?

  • #賃貸トラブル

 民法の私的自治の原則は、契約当事者が対等な立場において契約することを前提としています。しかし、実際には、消費者と事業者トの間には、情報の質・量や交渉力において大きなかくさがあります。

 そのため、契約に基づいて生じる責任を、そのまま消費者に負わせることが適当でない場合が生じることがあります。そして、このことが消費者トラブルの背景になっていることも少なくありません。

 こうした実情を踏まえて、契約の成立過程や契約条項について、消費者が契約の効力の一部又は全部を否定できるように定められたのが消費者契約法です。

→つまり、消費者を守るために作られた法律なんです! 

 

消費者とは?

 個人であり、事業として又は事業のために契約の当事者とならない者をいいます。個人事業者が契約を締結する場合であっても、「事業として又は事業のために」するのでなければ、同法に定める、「消費者」に該当します。なお、「事業として又は事業のため」に契約したかどうかは、第一に契約締結時に客観的・外形的に認識できるかどうかで判断され、これが難しい場合には実質的に事業として又は事業のために契約締結したかどうかで判断されます。

 

事業者とは?

a.法人

b.その他の団体

c.事業として又は事業のために契約の当事者となる場合の個人

 

消費者契約とは?

「消費者」と「事業者」の間で締結される契約をいいます。これに関しては、労働契約以外の適用除外の定めは設けられていません。

 

賃貸借契約における特約と消費者契約法10条

 民法上の信義則違反や公序良俗違反など、一般条項に関する定めは、非常に抽象的で、実際にどのような場合にその定めが適用されるのかが分かりにくく、法的な安定に乏しいため、活用しにくい条項になっています。

 そこで、消費者契約法では、無効とすべき条項を具体的に規定することにより、不当な条項の効果を否定することを容易にしました。

 具体的には、消費者契約法10条で、民法、商法、その他の法律の規定を適用した場合に比べ、消費者の権利を制限し又は義務を加重する特約で、その程度が信義誠実の原則に違反するものの効力を否定している。

 賃貸借契約において、原状回復、敷引特約ともに、この消費者契約法10条により有効性が争われていることが近年多くなっていています!

 

消費者契約法が適用される契約の締結時期について

 消費者契約法は同法の施行日(平成13年4月1日)以降に締結された賃貸借契約に適用があります。賃貸借契約が法施行前に締結され、法施行後に更新がなされた場合に、消費者契約法の適用があるかどうか。これについては争いがありますが、書面による更新合意があるケースについて新たな賃貸借契約が成立したと言えるとして、同法の適用を認める判例もあります。

 なお、消費者契約法が適用されない賃貸借契約の場合は、従前どおり民法1条2項の信義則違反や民法90条の公序良俗違反による特約無効を主張することになります。

 

消費者契約法10条の要件

 消費者契約法10条にもとづいて、特約が無効とされるための要件は次のとおりです。

①賃貸人が事業者であること

②賃借人が消費者であること

③当該契約が、民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比べ、賃借人の権利を制限し、又は加重する条項であること(義務加重性)

 

 この要件に該当するかの具体的判断は

a.民法などの任意規定を適用した場合

b.当該特約を適用した場合

 この両者を比較して、特約が適用された場合に、賃借人が本来有しているはずの権利を制限し、、または、賃借人が本来果たすべき義務を加重しているかどうかによりなされます。

④当該特約が、民法1条2項に規定する基本原則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであること(信義則違反)

 ここに言う「民法1条2項に規定する基本原則」とは、信義誠実の原則(信義則)と言われているものです。

 私人間の取引関係は、相互に相手方を信頼してはじめて成り立ちます。信義誠実とは、すなわち、社会共同生活の一員として互いに相手方の信頼を裏切らないように誠実に行動することと理解されています。この信義誠実の原則は、権利の行使や義務の履行の場においてのみならず、契約の趣旨の解釈においても基準となります。

 

 当該契約が消費者の利益を一方的に害して信義則違反と評価されるかにあったては、当該契約の合意時点でのすべての事情が考慮されますが、特に以下の点に注意する必要があります。

 

a.当時者の情報力・交渉力の格差の程度・状況

b.消費者が、当該契約に合意するよう勧誘されたか

c.当該契約について、消費者の方から特別に求めたものか

d.当該特約、消費者にとって明確で理解しやすいものであるか

e.消費者に当該特約の基本的内容を知る機会が与えられていたか

 

 その上で、以下の点が認められれば、信義則違反に反し消費者の権利を一方的に害すると判断できます。

 

 ア 当該契約の規定につき、賃貸人と賃借人との間の情報の質・量及び交渉力の格差の是正を図ることが必要と認められるか。

 イ 当該契約を有効とすることにより賃借人が被る不利益と、この特約を無効とすることにより賃貸人が被る不利益とを比較し、両者が均衡を失っていると認められるか。

 

消費者契約法10条の効果

 上記要件を充足する特約は、無効になります。民法1条2項では、信義誠実の原則に違反する場合には権利行使を認めないとされているのみで、当該契約条項が無効かどうかについては規定されていません。

 

 しかし、消費者契約法10条適用の効果はそれにとどまらず、問題となっている契約条項を一律に無効とし、当事者の意図した法的効果を当然に最初からなかったことにしようとするものなんです!。

ゼロア司法書士事務所

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